Old School Collaboration
Vans Irvine Store, Irvine California |
アメリカスニーカー市場は、コラボレーション時代に入った。日本ではコラボレーションは新しい調達(仕入れ)システムと誤解されているが、本当は新ブランドや新デザインを創り出すシステムと理解すべきである。ブランドメーカーの多くは、コラボレーターにデザイナーを起用するが、ヴァンズ(本社:カリフォルニア州サイプレス、スティーブンM.マーレイ社長)は昔からスケーターやサーファーとのコラボレーションに積極的なブランドだった。現在推進している「Legend Pack」も、カリフォルニアスニーカー一筋に歩いてきたヴァンズの歴史が生み出したコラボレーション・プロジェクトである。
ヴァンズのコラボレーションが特に多くなったのは、2009年の創業40周年を迎えてからである。プロジェクトを組んだコラボレーターはアーバン・アウトフィッターズ、Jクルー、ブルーミングデールズなどの有力チェーンから、フィルソン、ペンドルトンのようなアウトドアブランド、さらにクロージングのデザイナーまで広汎で、最近はエルメスとのコラボレーションモデルも発売した。
そのヴァンズが発売した最新コラボレーション企画が「Legend Pack」である。
Legend Pack
Vans+Filson Collaboration |
「Legend Pack」はヴァンズがこれまで契約してきたプロライダーをコラボレーターにして、限定モデルを企画・発売するプロジェクトである。70〜80年代に活躍したスケーターやサーファーはちょうど40〜50代に達しているため、自らの人生を振り返るノスタルジックな活動を打ち出しているスケーターが多くなってきた。
いっぽうで現代の主要購入客となっているトゥィーンズ消費世代は、最新型のイキップメントで育っているため、ヴィンテージ・スケーターやオールド・サーファーは伝説上の出来事のような世界である。「Legend Pack」はこうした市場背景のなかでコラボレーターと消費者双方にとって新鮮なファッションステートメントになって成功につながったのである。
Malibu Snake Pack
Vans Malibu Snake Pack, one of Legend Pack by Vans |
「Legend Pack」の典型例の一つは「Malibu Snake Pack」で、2011年6月1日から全米発売された。ヴァンズがマーシャル兄弟(サーファー)と共同開発したモデルで、同プロジェクトはヴォルトをベースに使用している。モデルは「Slip-On LX 」と「LX Spectator」の2タイプで、レザー、スネークスキン、キャンバスをミックスした素材使いになっている。
マーシャル兄弟はマリブーを本拠にして活躍していたトラック・マーシャルとチャド・マーシャルの兄弟サーフデュオである。2人はカリフォルニア生まれのネイティブ・サーファーで、チャドはマリブーのシェイパーScott Andersonがサポートするチームに所属していた。
「Malibu Snake Pack」は日本でも少数が供給されたが、情報量が少なく、販売システムが確立していないためほとんど購入につながっていない。コラボレーションシステムは、新しいブランド開発&供給システムである。大半の企業は、コラボレーションはエクスクルーシブな仕入れ調達手段と考えているが、そういう時代は遠い過去になった。個別企業やブランドの成長は、単独ではなく、市場全体の成長が連動しなければ達成できない。日本のアクションスポーツ業界は、日本市場が拡大するためにコラボレーションシステムを育成すべきである。
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